『機動戦士Zガンダム』考察 ガンダムシリーズの歴史 その1 『Z』のメイントリック *ネタバレ注意 2018/11/26 上げ直し
*ネタバレ注意
今回から、ガンダムシリーズについて書いていこうと思う。
まず、初代『機動戦士ガンダム』は後回しにして、
続編『機動戦士Zガンダム』のことから書いていきたい。
30年以上も前の作品だ。メイントリックを指摘するところから始めても悪くはあるまい。
TV版『Zガンダム』には明確なテーマがあり、それを描くため、あるトリックに基づいて物語が作られ、結果的に主人公カミーユ・ビダンを狂わせた。
そのメイントリックとは、
1年戦争で戦っていた人間は、そこで戦争に対する感覚が麻痺して、
戦争を淡々とドライにやっていける人間ばかりだが、
一方、一年戦争で戦っていなかった人間は、戦争を淡々とドライにやっていくことができない、甘ちゃんばかりである。
だが、その感覚の違いをわかっている人間が誰もいない。
唯一、前作の主人公アムロ・レイだけが、カミーユ・ビダンの甘い戦い方に気づいて、それを何度も指摘しているだけだという、特殊な世界が描かれているということである。
(2019/2/16追記 アムロが探偵で、答え合わせのなされないミステリーと考えてもいいと思う。)
『Zガンダム』は、ジェネレーションギャップを原因とした感覚の違いをメイントリックとした作品なのである。
一年戦争で戦っていない人間を挙げていくと。
まず、ティターンズのほぼすべての人間。地球出身のエリートの後には、ボンボンの甘ちゃんという表現をつけるのがぴったりだ。
ジャミトフは年配ではあるが、小説版に描いてあるとおり財務官僚出身で、一年戦争で戦っていた人間ではない。(だから甘さが祟って、シロッコに殺害された。)
シロッコは、シャアがミネバのためにMSを艦内で爆発させなかったのにかかわらず。自身は美学とロマンで、Zガンダムを破壊しなかったような男だし、
ヤザンも乱暴なだけで、甘い人間である。そうでなければ、レコアを連れて帰りはしなかっただろう。
ただし、バスク、とガディは残虐な作戦を淡々と行えるので、違うだろう。
エウーゴでは、カミーユを始めとした若手のパイロット。一年戦争で戦っていたのが明らかな人間以外は、全員甘いと言っていい。
ただし、ヘンケンだけは一年戦争に従軍しているが甘い。だが、よく考えてほしい。
一年戦争の最終決戦、ア・バオア・クーの戦いで、後方のサラミスにいたのがヘンケンである、
これを一年戦争では最後まで戦場に間に合わなかった、という意味だと考えると、
ヘンケンが甘いのは、ここで指摘しているメイントリックを解く大きなヒントだと思う。
アクシズに至っては、ハマーンを始めとして新兵ばかりだ。ハマーンがシャアに甘い戦い方をしているのは、機体性能が圧倒的に有利だったからでも、シャアにに未練がったからというだけではない。ハマーン自身が甘い人間なのだ。
続く