『機動戦士Zガンダム』考察 ガンダムシリーズの歴史 その3 カミーユ・ビダン *ネタバレ注意 2018/11/26 上げ直し
いろいろと、極端な行動や発言が多いので、多くの誤解を招いているが、
第13話「ジャブローの風」の中で、ジャブローでの戦闘に巻き込まれ、木に押しつぶされた親猿から、子猿が離れようとしないシーンが有る。
それも、戦闘中にもかかわらず、かなり長い時間。
このことから、眼の前で両親、特に母親を戦争で失ったのを引きずっていることが解る。
そして、戦争によって命が失われていくことに、強い嫌悪感を持ちながら、そのまま戦争に身を投じ続けたのがカミーユ・ビダンである。
親の死を目の当たりにするまでは、親の愛に飢え、
両親のなくなった後には、戦争で人が死んでいく、そして自分が殺してもいく矛盾に対し、極端な行動や発言をし続けているのでわかりにくい。
だが、 カミーユは、両親を失った後悔から、人の命を守ろうという、至ってまともな行動原理で行動しているである。
そのまま、戦争に巻き込まれつつも、参加しない訳にもいかなくなった、
自分と世界との矛盾が、精神崩壊へとつながった主因である。
勿論、フォウやロザミアを、救おうとしたが救えなかったことが大きな原因でもある。
だが、一番大きな原因は、ブライトとシャアとの感覚の違いである。
『Zガンダム』のメイントリックを指摘してきたが、カミーユが精神崩壊を起こすに至った最大の理由は、ジェネレーションギャップである。
言ってしまえば、ブライトとシャアが、一年戦争で戦っていたときと同じ感覚のまま、
カミーユが戦争をドライにやっていけない、甘ちゃんの世代どころか、戦争を人一倍嫌がっていることを解りもせずに、
アムロ・レイと同じ、一年戦争で戦っていたニュータイプと同じものを期待していた、
メイントリックで隠された事故こそ、カミーユが精神崩壊を起こした最大の原因なのである。
ただし、本当に事故で悲劇が起こったこともある。
第47話「宇宙(そら)の渦」でハマーンと精神感応を起こしているところでは、
「この感じ、ずっと以前に出会っていたような、おふくろ」と、
ハマーンと母親を重ねてみていた。
カミーユからしてみれば、宇宙服も着ないで、戦闘に出てきたハマーンを、
「カプセルの中の母親」と重ねたとしても、おかしくないのだが、
ハマーンはそんなことを知らなかったので、それが嫌だっただろう。
第48話「ロザミアの中で」ではカミーユは無断出撃をしようとするが、
それが無断出撃にならなかったのは、ただの偶然による事故だ。
ロザミアがフォウに見えていることは感覚が研ぎ澄まされすぎたせいで、まだぎりぎりおかしくなっていない、
だがパニックになったロザミアが、アーガマの方へ向かい、カミーユが撃墜しなければならなくなったのは、偶然による事故である。
だが、47話の後半ブライトとシャアが、ニュータイプとしていい方向に進んでいると過大評価したこと。
48話の最後シャアが「あまり気にするな。」
というあまりに、何も解っていない対応をしているのは、やはり感覚の違いを感じざるを得ないし。
カミーユの精神崩壊の主因は、この感覚の違いのせいだとおもわれる。
そして、カミーユは精神崩壊に至ったわけだ。
続く