『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その2 ほむらが事実を知るまで 再掲載 *ネタバレ注意
*ネタバレ注意
ほむらが最初に出会ったのが、インキュベーターの能力で人格が変わった、ほとんど別の人物だ、と指摘したのが前回。
詳しく見ていこう、
第10話をそのつもりで見ればわかると思うが。
最初のカットの表情から違っている、
ほむらを保健室に連れて行こうとして、話しかけているが、堂々と話しかけるまどかを、さやかと仁美がただ黙って意外そうに見ている。
ほむらと会話をしながら、保健室にエスコートするまどかは、本当に素敵にエスコートしている。
第一話でおどおどしながらほむらの後をついていき、それにほむらは苛ついている。それも、このまどかと比較しているからだろう。
颯爽とほむらを助け、「クラスのみんなには、内緒だよ。」と、強気に弓を放つ。
「ほむらを助けられたことが自慢だ」と言い、単身、勇敢にワルプルギスの夜に立ち向かい、破れ倒れた。
どう見ても、本筋のまどかが魔法少女の能力を手に入れただけの存在には見えない。
本筋のまどかとは、人格が別物だ。
そのまどかの死に立ち会い、
「私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい。」
という祈りで契約し、魔法少女になったのが、魔法少女暁美ほむらである。
この時点では、鹿目まどか本来の人格をまったく知らないままに。
そして、時間がまどかと出会う前に戻り、クラスの中で、
「私も、魔法少女になったんだよ。」
と、さぞかし周りは凍りついたことだろう。
このことからもわかるが、暁美ほむらは、元からして思い込みの強い、視野の狭い子供であり。コンクリートの上にハンカチを敷いて座るような、お嬢様育ちで何も知らない子なのだろう。
そして、まどかのソウスジェムがグリーフシードを生み出したのを目撃し、時間はまた巻き戻った。
ここで、まどか達が通っている中学校について考察しておこう、
あの中学校は、裕福な家庭の子女達が通う、中高一貫の名門校だ。
まず、数学の問題が中学二年生にして、大学入試レベルだ。極端すぎてかえって解りづらいが、中高一貫校だとおもわれる。
登場人物をひとりずつ見ていくと、
マミ・・・理由は明らかではないが、中学生にして高級そうなマンションで一人暮らし。
仁美・・・解りやすいお嬢様。
恭介・・・バイオリンはとてもお金のかかる楽器で、家が裕福でないとやるのは無理だ。
まどか・・・母親が企業の重役で、父親は主夫に専念できるくらいだし、家もかなりゴージャスだ。
さやか・・・これは分かりづらい、だがよく見ていけば家庭が裕福なことが解る。
自分が小市民だとおどけているが、自分は大した不幸も知らない、恵まれすぎて馬鹿にっなっている、幸せバカ。だとも言っている、
また、CDをちょくちょく買って、恭介にプレゼントしていたが、これは裕福な家庭同士で交流がなければ無理なことだ。さやかの家が裕福でなければ、恭介の親が止めに入る。
第四話でさやかの後ろの棚に1,000枚を超えるであろうCDが並んでいる、これは恭介の心象的な表現であると同時に、それを支えるだけの経済力が、さやかの家にはあることの証拠でもある。
さやかが、不正な手段でりんごを入手したことで、杏子を拒んだのは、さやかの育ちが良すぎ、杏子の育ちが悪すぎたせいでもある。
さやかと恭介が、身分違いの恋だという指摘も見たことがあるが、仁美が解りやすいお嬢様だというミスリードに引っかかっているだけだ。
杏子なら、この事に気づけただろう。だが、その境遇故に他人の家庭や学校に興味を持てない人間なので気づいていない。(鹿目家と上条家が裕福なのには気づいていたようだが。)
以上より、本作はお嬢様視点というミスリードで解りにくくされている。という叙述トリックを解きながら見る作品なのである。
話がそれたので本題に戻ろう。
時間が戻ったほむらは、インキュベーターの異常性を知らせようとするが、信じてもらえず。マミがパニックを起こして殺し合いが起こった後は、まどかと二人でワルプルギスの夜と戦い、負けた後ソウルジェムがグリーフシードになりかけているのを、まどかが隠し持っていたグリーフシードで助けられ。
「キュウベエに騙される前の、馬鹿な私を助けてあげて。」
と頼まれる、
そして、何度繰り返すことになってもまどかを救ってみせると約束した。
人格が別物のまどかに。
そして魔女になりそうなまどかに「魔女にはなりたくない」と頼まれ。悲痛な叫びを上げながらまどかにとどめを刺した。
続く
『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その3 精神的視野狭窄 再掲載 *ネタバレ注意