『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 美樹さやかの物語 その4 さやかの訃報のあと 再掲載 *ネタバレ注意
*ネタバレ注意
恭介がさやかの訃報を受けてから、最終回、バイオリンのコンクールにで演奏するまでのことは伏せられている。
だが、物語を読み解くヒントはちゃんと描いてある。
担任の教師とまどかの母の会話より、仁美はショックを受けている。これが一つ。
コンクールに出る恭介を仁美は舞台袖から見守っている。これがもう一つだ。
この二つより、恭介と仁美は、そのまま関係がうまく行いったと思われる。
仁美はさやかに先に恭介に告白するように順番を譲って、促してから恭介に告白するような子だ。
恭介が、さやかの死を気にしない冷酷な人間なら関係が続いたとは思えない。(そういう可能性もあるが、違うと思う。)
以上より、恭介はさやかの死にショックを受けただろう。
恭介も、仁美も一人だったら立ち直れなかったかもしれない。
だが二人は一緒だったので、さやかとの謎の多い死別から立ち直って前に進んでいけたのだろう。
その途中を描いたのが、最終回のバイオリンのコンクールに出場した場面である。
課題曲は『アヴェ・マリア』このマリアというのは、勿論イエス・キリストの母のマリアのことであって、
恭介からすれば、さやか相手にマザー・コンプレックス抱いて甘ったれていた事、
情けなくて話しかけることができなかった情けない自分。
そして、本当に奇跡的に手が動くようになったことと無関係ではないような、さやかとの謎の死による死別。
このすべてと向き合わなければ『アヴェ・マリア』を弾くのは無理だろう。
よく見ればわかると思うが、課題曲名を告げバイオリンを構える恭介、そして舞台袖から、心配しつつも見守る仁美。
二人共、さやかとの死別から立ち直って、成長して前に進もうとしている強い人間の顔をしている。
そして、演奏が始まりその誠実な演奏に、審査員がざわついている。
バイオリンは弾けないが、これが誠実な演奏だということは筆者にもわかる。
(この演出があるからこそ、恭介が実は不誠実な人間ではない事に確信を持てた。)
そして、さやかも、これを見たからこそ、
「これでいいんだ、私はただもう一度あいつの演奏が聞きたかっただけなんだ、あいつのバイオリンをもっともっと大勢の人に聞いてほしかった。それを思い出せただけで、十分だよ。」
と納得して、まどかに連れられ死んでいけたのだろう。
第3話の巴マミの、「彼に夢を叶えてほしいの、それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの、同じようでもぜんぜん違うことよ、これ」
という指摘で考えるなら、前者だとはっきりさせた事になる。
だが、これだけでは終わりではない。
続く
『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 美樹さやかの物語 その5 エピローグ 再掲載 *ネタバレ注意