『魔法少女まどか☆マギカ』考察 探偵のいないミステリーの先 美樹さやかの物語 その3 恭介の退院とその後の行動原理 再掲載 *ネタバレ注意
京介がさやか相手にマザー・コンプレックスを抱いていたことに気づいてしまったまでが前回。
恭介が冷酷な人間だと思われているのは、退院することをさやかに告げず。
復学したあと話しかけもしなかったからだろう。
だが、叙述トリックに伏せられた部分を見ていけば、それがどうしてなのかは想像に難くない。
さやか相手に母親を求めて甘ったれていたことが情けなく、合わせる顔がなかったのではないかと思われる。
仁美に告白され、そのまま談笑してる場面も、さやかの視点で書いているので一見冷酷に見える。
だが、男というのは母親と仲が悪い時は、代償行為として女の子といちゃついていたいものだし、そういうふうにして成長していくものだ。
仁美と仲良くしているシーンが意味するのは、恭介が冷酷な人間だということではなく、
むしろさやかに合わせる顔がなく、寂しいことと、さやかのことを深く気にしていることである。
それを見てさやかは暴走していくが、それは運命のいたずらと自爆だろう。(最悪の自爆は魔法少女になる前にしたと思うが)
そして電車の中の男二人を八つ当たりで殺してしまうが、その際にさやかが言っていたことは、「自分の息子が女の子といちゃついていると、母親はああいうふうに感じますよ。」ということなのかもしれない。(筆者は男なので詳しくない。)
そして、さやかは魔女となり恭介との関係はすれ違ったまま死に別れたかに見えた。
だが、さやかの遺体は発見され恭介のもとに訃報が届くことになった。
ここからは、劇中であえて何も描いていないところを、今までより多く想像しなければ考察を進められない。
恭介の主観でこれまでのことをまとめよう。
事故で左手が麻痺し気が気でない。
さやかが聞きたくもないCDを買ってくる。
リハビリを頑張っていたが、医師に手は動くようにならないと宣告される。
自暴自棄になってさやかに八つ当たりしたと思ったら、さやか相手にマザー・コンプレックスを抱いていたことに、当の本人に気付かされる。
本当に奇跡が起きて手が動くようになる。
病院の屋上でバイオリンを演奏。これがさやかとの今生の別れとなる。
さやか相手に合わせる顔がなく、連絡もできずに退院し復学する。
仁美に告白され仲良くなる。
さやかのことが気になってはいたが、バイオリンを弾けるようになり、仁美とも仲良くなっている。さやかとは同じクラスなのでいずれは話すことになるだろうし、そのときは自傷行為に及んだ時の事を謝って、気持ちに蹴りをつけようとしていただろう。浮かれていてもいただろう。
そんな時にさやかの訃報である。
今生の別れは病院の屋上で終わっていて、どうしようもなく情けない理由でさやかに話しかけることもできなかった。
愕然とするしかなかっただろう。
続く
『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 美樹さやかの物語 その4 さやかの訃報のあと 再掲載 *ネタバレ注意