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『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その5 まどかのいない世界で 再掲載 *ネタバレ注意

*ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほむらはまどかと新しい約束をして、まどかのいない世界に放り出された、

 そしてそれは同時に、まどかとの最初の約束を果たすことの失敗であり、

 自分で自分を追い込んで戦い続けたことからの開放でもあるだろう。

 

 その新しい世界でもほむらは魔法少女を続けた。翼を広げ、まどかと同じ武器を取り、まどかから譲り受けたリボンを付け。

 

 まどかと同じ武器を使い、もらったリボンを付けているのは、まどかのことを決して忘れない決意の現れだろう。

 

 一方、白い翼が使えるようになったことは、まどかのいなくなった世界で、ほむらに自分の人生を生きていく自由があるという表現だろう。

 

 「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけど、だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なの、それを憶えて、決して忘れたりはしない、だから私は、戦い続ける。」

 

 このセリフも一見支離滅裂だが、まどかのいなくなった世界で、ほむらがまどかにこだわり続けていること、そうである一方それにこだわらない人生もあり得ることをほのめかしていると思う。

 

 そして、『コネクト』が流れる。

 第10話のラストの『コネクト』が、悲壮感のある表現であったのと対称的に、

 

 最終話の『コネクト』は、重いながらもカタルシスと爽快感を感じるのは、

 新しい世界で、ほむらに開放と自由、

 そして何より、「成長していく可能性」があるからだろう。

 

 これで終わればきれいに終わっただろう。

 

 だが、そうはならない。

 

 Always,somewhere,

someone is fighting for you.

---As long as you remember her.

you are not alone.

 

いつも、どこかで、

誰かがあなたのために戦っている。

ーーー彼女を覚えている限り、

 あなたは孤独ではない。 

 

 このモノローグの後、

 ほむらはいつとも知れぬ時に、どこかもわからない荒野で、

 魔獣たちの群れに向かって、

 もはや浄化しきれなくなり濁った翼を広げ、

 まどかの「がんばって」という声を聞き苦笑とも達観とも取れる、

 なんともとれない微笑をし、魔獣たちの攻撃を受け、

 魔獣たちに向かって飛び込んでいき、

 ソウルジェムを浄化できなくなり、魔女になりまどかに救われるか、

 魔獣にやられて死亡するかの死地に飛び込み物語は終わる。

 

 この到底綺麗に終わったとは言えない終わり方は、どういう表現だろうか。

 (ここでは『叛逆の物語』のことは考えないものとする。)

 

 これを読み解くキーは、まどかの「がんばって」という声だろう。

 

 これを判断するヒントは第一話の最初にあると思う。

 

 劇場版ではカットされたシーンである。

 

 第一話の冒頭、まどかは単身ワルプルギスの夜と戦うほむらを、インキュベーターから見せられ何らかの願いをし魔法少女になった。

 このまどかは地球を滅ぼすであろう魔女となったのは後に解ることだが、

 問題は、このまどかがどんな願いで魔法少女になったかということだ。

 

 これは劇中に一切描いていないので想像するしかない。

 そうであると同時に、製作者からの「この願いはなんなのか」という問いかけでもあると思う。

 

 筆者だったら「あの女の子を助けたい」と思うだろう。

 そしてその祈りが、巡り巡って鹿目まどか自身の、円環の理の力で、

 ほむらのピンチに「がんばって」という声になって聞こえたというのが筆者の解釈である。

 

 そう考えると、物理的に「助けたい」というシンプルな願いであるからこそ、ほむらの境遇には、よりハートフルなものである一方。

 ほむらの失敗の結果である、円環の理の作用でもある。

 

 この「がんばって」を聞いて謎の微笑をし死地に飛び込んでいったほむらの成長は、

 製作者が意図的に曖昧にしていると思う。

 

 ほむらがまどかのいなくなった世界で自分の人生を生き、成長し死地に飛び込んでいったか?

 

 まどかのいなくなった世界での、ほむらの成長というテーマは、重い。

 

 ただ見ているだけでも重さがあるのは解るはずだ。

 

 そこに加え、叙述トリックで隠された部分、

 鹿目まどかが成長できず死ぬことさえできなくなったことと、

 美樹さやかが残酷に成長して死んでいったこと、

 そしてほむら本人が気づいていない暁美ほむらの物語を加えて考えると。

 ほむらの成長というテーマは、壮絶という一言では言い表せないくらい、とんでもなく重いものになる。

 

 『叛逆の物語』のことを考えなくても、ほむらがそれらのことをどれだけ解ったかは怪しい。

 

 それでも、まどかとさやかのことを背負ってほむらが生き、死地に飛び込んでいったと言っていいだろう。

 

 まどかとさやかのトリックで隠された部分と、曖昧にされたほむらの成長とを併せて、

 視聴者に、「成長」というテーマを突きつけてくる、

 

 この重く強烈なラストこそTV版の真骨頂であり、シリーズの最高到達点だろう。

 

続く

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 自己犠牲 の否定 *ネタバレ注意 - FRWブログ

魔法少女まどか☆マギカ 考察 目次 リンク 

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その4 ループの終わり 再掲載  *ネタバレ注意

*ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここまで書いてやっと、これだけ残酷でえげつない考察をしてきた理由がやっと書ける。

 

 暁美ほむらが背負っていたものは、叙述トリックに隠されていた部分を、想像して解き明かさなければ解らない、

 タイトル通り、探偵のいないミステリーを説かなければたどり着けない、ただ見ているだけで解るものより、遥かに重いものを背負っていた事を知ってほしかったからである。

 

 ほむらだけではない、まどかも、さやかも、恭介も、視聴者が考え、想像力が届かなければ辿り着けないだけの重さを持った作品だ、と指摘したかったからである。

 

 今回はループの終わりまで考察を進めよう。

 

 自分の戦いがまどかを最強の魔女にするかもしれないと指摘されつつも、ワルプルギスの夜との戦いに赴くほむら、

 刃が立たず、動けなくなり、時間をやり直そうとするが、それがまどかに残酷な運命をもたらすことを思い出し、絶望しかけ諦めそうになったとき、まどかはやってきた。

 

 鹿目まどかの物語で書いたとおり。これは、中学二年生がその純粋さを通しただけのもので、本来、親が嵐の中に送り出していいようなものではない。大事故だ。

 

 だが、暁美ほむらの物語で考察してきたとおり、ほむらもまた年齢相応の子供である。

 この時点ではさやかもそうだ。

 まどかが円環の理になった主な目的は、さやかの救済だろうから、

 結局は子供同士の友情の問題で、世界を背負って何かをしようとしたわけではない。(考えていたとしても想像できる限りの、魔法少女の感情くらいだろう。) 

 

 最終話「わたしの、最高のともだち」

 このタイトルの通り、子供のやったことだ。

 

 筆者がもっと若ければ、「そこがいいんだ」と言えたかもしれない。

 だが、この年になっては、そうだとは言えない。子どもたちがやらかした酷い事故としか言えない。

 

 だが、そうであるからこその重さは感じ取れる。

 そして、それが本作の真骨頂でもある。

 

 

 

 ほむらは一緒に戦っていた頃の記憶を持つまどかにもう一度会い、

 自分の今までの戦いをまどかに受け入れられ、

 まどかからリボンを受け取り、鹿目まどかが円環の理になって、

 自分しかまどかを思い出すことしかできない、新しい世界に放り出された。

 

 続く

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その5 まどかのいない世界で 再掲載 *ネタバレ注意 - FRWブログ

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『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その3 精神的視野狭窄  再掲載 *ネタバレ注意

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 時間が巻き戻り、

 インキュベーターのまどかへの接触を妨害するようになった。

 

これ自体はインキュベーターの異常性を知っていれば当然だ、

 

 『鹿目まどかの物語』で考察したとおり、

まどか本来の人格は、基本的にいい子なのだが、

 放任され、根拠のない自信に溢れているのが原因で、どれだけ忠告しても、人のためにあっさり魔法少女になって人間をやめてしまい。

 その裏返しで、不安に怯えておどおどしているただの子供である。

 

 したがって、ほむらが約束を果たそうとして、インキュベーターの妨害をやればやるほど、

 ほむらが最初に出会った、あの素敵な(願いで人格が変わっている)魔法少女まどかとは出会えず、

 本来のまどかの、人格と行動に苛つき、苦しまされ、何度も同じ時間をやり直し続けることになった。

   

「もう、誰にも頼らない」と、悲壮な覚悟を決めると同時に、もともと狭い自分の視野を更に狭くしていたのがほむらである。

 

 まどかの家庭環境のことなど想像できなかっただろうし、

 自分が最初に出会ったまどかが、人格の変わるような願いで魔法少女になって、自分の大切な友人になったことも解っていなかっただろう。

 

 ただ最初に出会ったまどかとの思い出を心の支えにして、そのまどかとの約束を果たすことだけを目的にしながら、

 

 成功してもしなくても、自分の救われることない戦いを続けたのが、暁美ほむらである。

 

 

続く 

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その4 ループの終わり 再掲載 *ネタバレ注意 

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『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その2 ほむらが事実を知るまで 再掲載 *ネタバレ注意

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 ほむらが最初に出会ったのが、インキュベーターの能力で人格が変わった、ほとんど別の人物だ、と指摘したのが前回。

 

 詳しく見ていこう、

 第10話をそのつもりで見ればわかると思うが。

 最初のカットの表情から違っている、

 

 ほむらを保健室に連れて行こうとして、話しかけているが、堂々と話しかけるまどかを、さやかと仁美がただ黙って意外そうに見ている。

 

 ほむらと会話をしながら、保健室にエスコートするまどかは、本当に素敵にエスコートしている。

 第一話でおどおどしながらほむらの後をついていき、それにほむらは苛ついている。それも、このまどかと比較しているからだろう。

 

 颯爽とほむらを助け、「クラスのみんなには、内緒だよ。」と、強気に弓を放つ。

 

 「ほむらを助けられたことが自慢だ」と言い、単身、勇敢にワルプルギスの夜に立ち向かい、破れ倒れた。

 

 どう見ても、本筋のまどかが魔法少女の能力を手に入れただけの存在には見えない。

 

 本筋のまどかとは、人格が別物だ。

 

 そのまどかの死に立ち会い、

 「私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい。」

 

 という祈りで契約し、魔法少女になったのが、魔法少女暁美ほむらである。

 この時点では、鹿目まどか本来の人格をまったく知らないままに。

 

 そして、時間がまどかと出会う前に戻り、クラスの中で、

 「私も、魔法少女になったんだよ。」

 と、さぞかし周りは凍りついたことだろう。

 

 このことからもわかるが、暁美ほむらは、元からして思い込みの強い、視野の狭い子供であり。コンクリートの上にハンカチを敷いて座るような、お嬢様育ちで何も知らない子なのだろう。

 そして、まどかのソウスジェムがグリーフシードを生み出したのを目撃し、時間はまた巻き戻った。

 

 ここで、まどか達が通っている中学校について考察しておこう、

 

 あの中学校は、裕福な家庭の子女達が通う、中高一貫の名門校だ。

 

 まず、数学の問題が中学二年生にして、大学入試レベルだ。極端すぎてかえって解りづらいが、中高一貫校だとおもわれる。

 

 登場人物をひとりずつ見ていくと、

 

マミ・・・理由は明らかではないが、中学生にして高級そうなマンションで一人暮らし。

 

仁美・・・解りやすいお嬢様。

 

恭介・・・バイオリンはとてもお金のかかる楽器で、家が裕福でないとやるのは無理だ。  

 

まどか・・・母親が企業の重役で、父親は主夫に専念できるくらいだし、家もかなりゴージャスだ。

 

さやか・・・これは分かりづらい、だがよく見ていけば家庭が裕福なことが解る。

    

 自分が小市民だとおどけているが、自分は大した不幸も知らない、恵まれすぎて馬鹿にっなっている、幸せバカ。だとも言っている、

 また、CDをちょくちょく買って、恭介にプレゼントしていたが、これは裕福な家庭同士で交流がなければ無理なことだ。さやかの家が裕福でなければ、恭介の親が止めに入る。

 第四話でさやかの後ろの棚に1,000枚を超えるであろうCDが並んでいる、これは恭介の心象的な表現であると同時に、それを支えるだけの経済力が、さやかの家にはあることの証拠でもある。

 

 さやかが、不正な手段でりんごを入手したことで、杏子を拒んだのは、さやかの育ちが良すぎ、杏子の育ちが悪すぎたせいでもある。

 

 さやかと恭介が、身分違いの恋だという指摘も見たことがあるが、仁美が解りやすいお嬢様だというミスリードに引っかかっているだけだ。

 

 杏子なら、この事に気づけただろう。だが、その境遇故に他人の家庭や学校に興味を持てない人間なので気づいていない。(鹿目家と上条家が裕福なのには気づいていたようだが。)

 

 以上より、本作はお嬢様視点というミスリードで解りにくくされている。という叙述トリックを解きながら見る作品なのである。

 

 話がそれたので本題に戻ろう。

 

 時間が戻ったほむらは、インキュベーターの異常性を知らせようとするが、信じてもらえず。マミがパニックを起こして殺し合いが起こった後は、まどかと二人でワルプルギスの夜と戦い、負けた後ソウルジェムがグリーフシードになりかけているのを、まどかが隠し持っていたグリーフシードで助けられ。

 

 「キュウベエに騙される前の、馬鹿な私を助けてあげて。」

 

と頼まれる、

そして、何度繰り返すことになってもまどかを救ってみせると約束した。

人格が別物のまどかに。 

 

 そして魔女になりそうなまどかに「魔女にはなりたくない」と頼まれ。悲痛な叫びを上げながらまどかにとどめを刺した。

 

 

続く

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その3 精神的視野狭窄 再掲載 *ネタバレ注意

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『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その1 ほむらが最初に出会ったまどか  再掲載 *ネタバレ注意

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 暁美ほむらの物語を考える上で重要なことは、ほむらが最初に出会った鹿目まどかは、どんな願いを叶えて魔法少女になったかという点である。

 

 劇中では描かれていないことだが、ヒントになるような描写は本筋で描かれている。

 

 第1話から続く本筋では、巴マミに憧れ、マミと同じ魔法少女になりたい」という、ただなりたいというだけで、契約にならない願いを持ったため、ほむらの妨害も併せて比較的長い間、魔法少女にならなかった。

 

 だが第10話を見れば分かる通り。ほむらが転校してきた時点で、すでにインキュベーターと契約し、魔法少女になっていたのが物語の始まりである。

 

 では、このときはどんな願いを叶え魔法少女になったのかを、劇中の描写から考えると。

 第二話より 

 「人助けのために頑張るマミさんは、とても素敵で、こんな私でも誰かの役に立てるとしたらそれはとっても嬉しいな、って思ってしまうのでした。」

 

 第三話より

 「ただ、なりたいってだけじゃだめなのかな。私ってどんくさいし、なんの取り柄もないし、だからマミさんみたいな素敵な人になれたら、それだけで十分に幸せなんだけど。」

 

 この二つの発言を併せて考えると、

 

 巴マミ≒素敵な人≒魔法少女

 

 というつながりで、ただ魔法少女になりたいと言っている。

 

 これを考えると、鹿目まどかが本来持っている願望は、

 

 「自分は鈍臭くなんの取り柄もないというコンプレックスを持っているので、もっと素敵になりたい。」

 

 というものだと思われる。

 

 本筋では、第一話の開始前に、暁美ほむらインキュベーターの妨害に成功し、上記のような経緯を経て、ただ魔法少女になりたい、というそれだけでは契約にならない願いを持つに至った。(ほむらがインキュベーターの正体に気づいたあとは、全部そうしていたと思われる。)

 

 だが、第10話の開始時に、インキュベーターとまどかの接触のことなど知りもせず、魔法少女でもない暁美ほむらに、これを妨害するのは不可能だ。

 

 インキュベーターはまどかに接触し、まどかが本来持っていた、

「素敵になりたい」という、至って平凡な願望で契約し、まどかは魔法少女になったのだとおもわれる。

 

 問題はこの、「素敵になりたい」という願望だ、

 

 インキュベーターの能力でこれを叶えると、本当に人格ががまったくの別物になったかのように変わるだろう。

 

 ほむらが最初に出会ったまどかは、本筋のまどかと人格が別物の、インキュベーターの奇跡で人格が変わっている、ほとんど別人だと言っていいくらいの人間だったとおもわれる。

 

続く

 

コメントでこのような、指摘を頂いたので、確認はしていませんが、追記しておきます。

 雷電

根本的な誤りを指摘し致します。まどか初回(第10話)の契約理由は「自動車にひかれた黒猫のエイミーの蘇生を願った」です。BD1巻の特典CDドラマ「メモリーズ・オブ・ユー」を確認してください。

 

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その2 ほむらが事実を知るまで 再掲載 *ネタバレ注意

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『魔法少女まどか☆マギカ』論 ~探偵のいないミステリーの先~ 鹿目まどかの物語 その4 まどかの母 再掲載 *ネタバレ注意

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 まどかの母はどんな人物か、

 まず、まどかに対して愛情がないわけではない。劇場版のオープニングで特に強調されているが、家族に対する愛情はちゃんと持っている人である。

 旦那さんは、第3話でまどかの「なんであんなに仕事が好きなのかな?」という質問に対して、

まどかの父「仕事が好きなんじゃなくて頑張るのが好きなのさ、

      嫌なことも辛いこともいっぱいあるだろうけど、

      それを乗り越えたときの満足感がママにとっての最高の宝物なのさ。

      そりゃ会社務めが夢だったわけじゃないだろうけどさ、

      それでもママは自分の理想の生き方を通している。

      そういうふうにして叶える夢もあるんだよ。」

まどか  「生き方そのものを夢にするの?」

まどかの父「どう思うかは人それぞれだろうけど僕はね、

      ママのそういうところが大好きだ、

      尊敬出るし自慢できる。

      素晴らしい人だってね。」

 

 と答えているのだが、これは明らかな誤解で、間違いだ。

 (それと同時に、父親もまたまどかを円環の理になるように導いているとも言える。)

 

 第二話でまどかが、魔法で願いが叶うならどんな願いをかなえるか。という質問に対して、

まどかの母「役員を二人ばかりよそに飛ばしてもらうわ(中略)」

まどか  「ママが社長になっちゃえば」

まどかの母「その手があったか、(後略)」

まどか  「ママ、目が怖いよ」

 

 とのやり取りがあるが、ここを見ると、どう見ても仕事自体が好きでしょうがない仕事人間だ。

 同時に、まどかの母もまた理解者のいない人間である。

 

 問題は、彼女が仕事人間であることから起きている。

 

 

1.反抗期の概念を持たず、まどかを過大評価し放任していた。

 (2018/12/4追記 これは弟の出産時期とまどかの反抗期がぶつかり、まどかが「お姉ちゃん」になったので、反抗期の概念が頭が回らなくて、過大評価と放任に至ったという別の可能性を思いついた。こちらのほうが自然な解釈かもしれないので、ここに付け足したい。)

2.同じ建物の中にいる旦那さん一切の相談をせずに、まどかを嵐の中に送り出した。(人を頼るのが下手。) 

  

 大きな失敗はこの2つだと思うが、この2つに限らずあらゆる行動が、「仕事人間はこんなもの」、と言っていしまえば説明のつくようなことをしている。

 

 どうしてここまで徹底した仕事人間なのか、なにか理由があるのではないかと考えていた。

 美樹さやかの物語が、上条恭介の伏せられている内心を読み解いていくものだったので、なにか理由があるのではないかと思っていた。

 

 だが、あるとき気がついた。

 

 仕事人間だが、どうしてそうなったか何も理由が描いていない。

 

 ただひたすら仕事人間をリアルに描いただけの人間だ、と。

 

(2020/11/15追記 仕事人間が仕事ができるだけの子供で、中学二年生の女の子を大人だと思っていると考えると劇中に描かれていることだけで理由の説明がつく話でもある。)

 

 『機動戦士Ζガンダム』のオマージュだというのはわかる。だが、その『Z』でさえ、一年戦争で戦っていた人間は、そこで戦争に対する感覚が麻痺しているというそれなりの理由があって、感覚の違いが原因で、子供を狂わせた話である。

 

 仕事人間であることに理由がない、というのもリアルな話かもしれないが、そうだとすれば酷い話だと思う。

 

2018/12/02 追記

  仕事人間で反抗期の概念がない人だと指摘したが、まどかのその時期と、第二児の妊娠、出産時期がかぶっている。その時期を境にして問題が発生したのだろう。

 まどか姉になって、手が離れたと誤解して仕事に専念していたという理由も思いつく。

 

 2018/12/5追記 

 まどかが姉になって反抗期に頭が回らなかったことから、まどかの母は姉ではないと思う。また仕事でもプライベートでも人を頼るのが下手だ。妹でもないだろう。

 そうすると、一人っ子が子供を二人持った結果起こった事故が、まどかが円環の理になったという恐ろしい可能性も思いつく。

 感覚の違いが原因だと指摘したが、これはリアルである分恐ろしい。

 鹿目まどかの物語はいずれ書き直したい。

 

 次回からは「真の主人公」、暁美ほむらの物語を書く。

 

 続く

『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 暁美ほむらの物語 その1 ほむらが最初に出会ったまどか 再掲載 *ネタバレ注意

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『魔法少女まどか☆マギカ』考察 ~探偵のいないミステリーの先~ 鹿目まどかの物語 その3 円環の理になったということ 再掲載 *ネタバレ注意

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 まどかは母親に過大評価され、放任されている、そして子供の狭い視野で書かれているのが、『魔法少女まどか☆マギカ』のメイントリックだというところまでが前回。

 

 そんなまどかも、奇跡や魔法の異常性や、さやかが魔女になったこと、説得に行ったが結局は無駄で、さやかと杏子の死に立ち会ったこと、などいろんなものを見て、成長してはいる。

 

具体的には、

 

 さやかの死について何も知らないと母親に嘘をつくようになった。

 

 避難所から無断で抜け出そうとしてひっぱたかれるようになった。

 

成長してはいる。年齢相応、中学二年生の思春期の少女に。

 

 その成長を、まどかの母も感じ取ってはいる。そして過大評価を進めてしまった。

 

 親が子供を嵐の中に送り出すのに、一人前になったと判断した以外の理由もないだろう。

 

 「理由が言えないなら自分も連れて行け」と決して無責任なわけではないが、

 同じ建物の中にいる旦那さんに一切の相談をせずに、まどかを送り出してしまった。

 

 まどかが魔法少女になるとき、巴マミの部屋でマミと杏子に会い、そこにおいてきた、自分で書いた、魔法少女のデザインを書いたノートを受け取っている。

 

 しばらく前に書いたノートを、死んだ人間から受け取って魔法少女になるというのも、これだって成長を示す表現である。

 だが問題は、ノートの中身だ。

 

 第二話で大きく描かれているのそれを見るのが解りやすいだろう。

 

 中学生が書いた絵ではなく、小学生が書いた絵に見える。

 

 つまり、

 

 「キャラクターデザインが子供っぽい」

 

 という叙述トリックで解りにくくしているが、

 

 このデザインを描いた時点のまどかは、小学生位の感覚の子供で、

 成長したにはしたが、それは小学生が中学生になった成長で、

 中学生がそこから先に成長したのではありませんよ。

 と製作者が丁寧に答え合わせをしているように見える。

 

 まどかが事故で円環の理になったのは、そのくらい計算づくで書いていることだと思う。

 

 そしてまどかは魔法少女になった。まどかが魔法少女になって放つ光は、Zガンダムの異常稼働と同様、人の心を犠牲にした暴走の光でもあるだろう。(色もよく似ている)。

 

 まどかは円環の理になった。子供の視点で書いているので感動的にも見えるが、すべての魔法少女を救える代わりに、死ぬことすらできなくなった。

 

 まどかの母はまどかの記憶すら失って、子供を失ったことを教訓にするどころか、悲しむことも後悔することもできなくなってしまった。

 

 鹿目まどかの物語は、子供が子供の感覚のまま人間を止めに行くのを、実の母親が背中を押して送り出してしまったとんでもない大事故であると同時に。

 子供を失った親が、そのことを自覚し記憶することすらできなかった物語である。

 

 美樹さやかの物語を、残酷な成長と死を描いたものだと言ったが、

 

 鹿目まどかの物語は、親子揃って成長と縁が切れた物語である。

 また、家族のあり方に対する大きな問題提起でもあるだろう。

 

 この問題の軸になっているのは、インキュベーターが原因であるにせよ、まどかの母を無視するわけにも行くまい。

 

 まどかの母がどんな人物か、次回にまとめて書く。

 

 続く

 

『魔法少女まどか☆マギカ』論 ~探偵のいないミステリーの先~ 鹿目まどかの物語 その4 まどかの母 再掲載 *ネタバレ注意 

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