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『機動戦士ガンダムAGE』 世代を超えた人間性の追求 *ネタバレ注意

*ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回からは、『機動戦士ガンダムAGE』について、考察を交えつつ描いていこう。

 

 結論から描くと、これはただ『ガンダム』を子供向けにリメイクした作品ではなく、

ガンダムシリーズ』がたどってきた歴史と、メインクリエイター、富野由悠季ガンダムシリーズで何をしてきたかを、メインテーマとした作品である。

 

 初代『ガンダム』がどんな作品かというと、ここ、

『機動戦士Zガンダム』考察 ガンダムシリーズの歴史 その1 『Z』のメイントリック *ネタバレ注意 2018/11/26 上げ直し

 

 で書いたとおり、戦争をカルト的に、カッコよく描き過ぎた危険な作品でもあった。

 

 そして、その危険性を封印しようとし続けたのが、『Zガンダム』以降の歴史である。

 

 『AGE』は、見れば分かる通り『初代』から『逆襲のシャア』くらいまでを、徹底して子供向けに、リメイクした作品である。

 

 だが、よく見れば、子供向けに、徹底して誠実に作ろうとした作品だというだけではなく、『Zガンダム』以降やり続けた、『初代ガンダム』の危険性の封印を、

 

 世代を超えた人間性の追求、というアプローチで、これまでの作品でなかったくらい一から、徹底的にやっている作品でもある。

 

 それを考えると、『ガンダムAGE』は『初代』の危険性を排除しつつ、21世紀の子供向けに作った、ガンダムシリーズのリメイクであると同時に。

 

 上に書いたような、ガンダムシリーズの歴史をとても良く解っている製作者が作った『ガンダム』でもある。

 

 故郷と母親を失い、AGEシステムとガンダムを作り上げ、謎の敵相手に備えるフリット

 戦いの途中でそこにいる人間、の人間性を知るも、結局はユリンを殺され、復讐者になったのが、フリット・アスノ

 

 ゼハートとの友情を描きつつも、本人の成長を描いたアセム編。

 

 そして、最初はフリットの受け売りをそのままやりつつも、多くのものを見て自分のやるべきことを見つけ、フリットに復讐者をやめさせるに至ったキオ。

 

 詳しく描きすぎると、ネタバレになるので控えめに描くが、

 

 3世代100年で描いた、人間性の追求、

 そして、数百年、数十世代を経た人類の「成長」を書いていると思う。

 (これを「進化」と呼ぶべきかどうかは問題提起としたい。)

 

 

 そしてこの作品は、富野由悠季に宛てたメッセージでもあるだろう。

 

 最終回の、

 

ユリン「許してあげて、みんなを、自分自身を。」

 

 というメッセージからの下りは、『初代ガンダム』でやった間違いを『Z』以降否定し続けた。富野由悠季送った言葉でもあるように思える。

 

 同時にイゼルカントもまた、『機動戦士ガンダム』を作ってロボットアニメの可能性を追求しようとした、富野喜幸でもあるだろう。

 

 『ガンダムAGE』のテーマは、「世代を超えた戦争と人間性」だと思う。

 だが、同時にガンダムシリーズがたどってきた歴史を理解し、初代ガンダムが危険なことも、『Z』以降過ちを正そうとしてきたことも、解っているから、「自分を許して」という製作者から、富野に対するメッセージだとも思う。

 

 とても良くできているし、好きな作品でもある。

 だが、問題もある。面白いは面白いにしてもそこそこなのだ。

 

 これは、やっていることが、表も裏も誠実すぎるからで、脚本や演出の甘さは、これに比べれば大した問題ではないだろう。(それでも、最後まで一気に見なければ辛いところもあるだろうが。)

 とはいえ、これは子供向けに、誠実に作った作品の宿命とも言えることで、十分許容範囲だと思う。十分良作だと思うし、筆者は大好きだ。

 

 『鉄血のオルフェンズ』を見た後の視聴もおすすめする。

 

 「戦争と人間性」というテーマに関して言えば、『ガンダム』か、子供向けかに関係なく、とてもよくできていると思うので、誰にでも一度は見てほしい作品だ。

  続く

 

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